20代一般男性の価値観

価値観の記録

チェンソーマンと映画

チェンソーマンという漫画はご存知でしょうか?

 

簡単な説明は抜きにして、ただ素晴らしさを語っていきたいのですが、その中でも5巻の39話についてです。

 

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作者の藤本タツキ先生はおそらく映画好きで、何かしらの映画のオマージュが多用されているらしいんですけど(それは別の方のブログをみてもらって)今回はその素晴らしさ、まずカット割について。

 

一コマ一コマが映画的で、メッセージ性が強く、読みやすく感じてしまう。それは一コマの情報量と感情の見せ方にポイントがあると思っています。

 

漫画というのは、自分のペースでコマを見ることができ、ページをめくることができる素晴らしいコンテンツ。

映画的な描写を読み手のペースでインプットできる漫画はそうありません。個人的に衝撃的な出会いでした。

 

 

チェンソーマンの物語の中で主人公デンジは、人間の本来の欲望のまま行動したり発言したりします。まずこれが少年誌ジャンプっぽくないこと。

デンジは、あるきっかけで悪魔になってしまうんですが、自分は完全に悪魔になってしまったのでは?と不安になり、上司のマキマさんに人間かどうかを確認する第39話。

 

 

僕たちも日常生活を淡々とこなしていると、たまに思うことがあると思うんです。ロボットなのでは?と。毎日同じことの繰り返し、何も刺激がない日々の中、人間だと気づかしてくれる瞬間は好きな人と一緒にいる時だけなのではないでしょうか。

 

デンジは、一つのミッションを終えてその中で成果をあげ、それをみていたマキマさん。さらにデンジの中の葛藤、悩みを見抜いていたのか、マキマさんがデンジにいきなりデートに誘います。

マキマさんに好意を抱いていたデンジはウキウキでデートに向かい、そこで初めてデート内容を聞かされます。

 

マキマ「今日は今から夜の12時まで映画館をハシゴして見まくります

 

最高です。好きな人と映画。

この人は、自分と同じシーンで泣くのか笑うのか。見終わった後、カフェで同じ感想を言い合うのか。真逆のことを思って論争してしまうのか。相手の意見を飲み込み賛同するのか。

また、映画を見ているその横顔は、どの景色よりも綺麗で、儚く、陰影も顔のエッジの曲線も素晴らしくて一生忘れることができない思い出。

胸の高鳴り、感情を表に出したことによってデンジは、自分の人間味を再確認でき、また日常生活へと戻っていきます。

 

39話のラストカットも素晴らしく、ここで引き画を見せることによりデンジの心情がより一層表現でき、またデンジを中央に描かないというセンスの良さ。

初心者の絵作りは日の丸図法(被写体を画面中央に設定する図法)と呼ばれている構図の連続になりがちになってしまいます。

逆にこの漫画の構図は、日の丸を多用していないので、そこらへんの商業映画よりもはるかに映画的なんです。

 

チェンソーマンは素晴らしい、布教させたい。いやさせます。